森本美絵「pH」

2013年2月3日(日) - 2013年3月3日(日)

オープニングレセプション(サンデーブランチ)2月3日(日) 13:00-16:00
※オープニング当日は日曜の通常営業時間通り17時までとなっております。

この度MISAKO & ROSENでは、2回目となる個展森本美絵 「pH」展を開催いたします。
森本美絵は、1974年岡山生まれ、1997年東京造形大学卒業。現在も東京を拠点に制作活動を行っています。
主な展覧会に2009年「Single Plural」MISAKO & ROSEN、東京(個展) 2008年「共鳴する美術2008」倉敷市立美術館、岡山(グループ展)、「夢の饗宴 歴史を彩るメニュー 現代のアーティストたち」資生堂ギャラリー、東京(グループ展)2007年「MORIMOTOMIE」graf gm media、大阪(個展)などがあります。
また、2012年には山梨県のトラックスにて個展「Family Complex」を開催しています。

森本美絵の写真。それはいい意味で、肩入れしすぎない視線、それでいて深みのある写真。ニュートラルな写真描写の中で、森本は今までもシリーズを展開してきました。前回発表した「Single Plural」は、ひとつであるはずの家族という対象を、複数化していく事で客観的に取扱うことがテーマにあげられました。また、「animal 8」という写真では動物図鑑のような視点を応用し、被写体が明らかであるにも関わらず、写真の中に映し出されているのは単純な動物ではないといった、多重構造をもったシリーズでした。

さて、今回の個展のシリーズに関してですが、まずは一言でいうと「気配のする写真」です。これまで通りの光や抽象的な描写、そしてよく見ると鑑賞者が何かを見つけるサービス精神のある描写などが盛り込んであります。ですが、ここまでまとめるには、長いストーリーがあったようです。だから今回は「気配のする写真」とだけ言ってみることにしました。

2007年頃より森本はライカM6という新しいカメラを手にしました。スイスのレジデンスのその旅の中で、彼女は新しいカメラと友達になるという行為を持ち込みました。彼女の言葉で的確に言うならば「知らない土地で知らない人と友達になるのが難しいように、知らないカメラと親友になろうとすると、それもまたとても難しい」。その長いストーリーは単純に劇的なものではなく、プロセスなのです。当初からプライベートを撮影することを前提としたライカM6、アイデンティティーを消去する行為を行っていないその写真たち。しかし、最初に「気配がする写真」と言ったように、いつも通りの彼女の写真でありながら、そこには新しいかたちが現れてくるでしょう。