廣直高「何も知らない」

2007年5月28日(月)~ 6月24日(日)

オープニングレセプション 2007年5月28日(月)  18:00~20:00

MISAKO&ROSENでは5月28日より6月24日まで廣直高「何も知らない」展を開催いたします。廣直高は、1972年大阪生まれ。1997年カリフォルニア大学(UCLA)ロサンゼルス校卒業。2000年カリフォルニア・インスティチュート・オブ・ジ・アーツ(CALARTS)修了。1990年代以降アメリカに渡り、現在は、ロサンゼルスを拠点に制作活動を行っています。

「何も知らない」展では、自らの目で確認することには限界があり、それを前提としながらも未知や無知の世界を探るという試みを中心に構成されています。最もアーティストに近しいものごと=自分の身体を土台に、しかしそれを確認する手段がカメラや鏡に頼るしかないという情けない現実を示しています。これまでに廣は、「Rotating a Skull」という頭蓋骨を手に取り、あらゆる角度から鑑賞し、重さや触った感覚を元に永遠に見ることの出来ない身体部位を想像する、といった映像作品を制作しています。今回発表する映像作品も頭蓋骨をモチーフに、頭部に肉付けをし復元を試みるといった事が行われています。前作では頭蓋骨の本体や内部に着目していたのに対し、今回は肉や皮膚といった外部的な要素に着目しています。質量を題材に「Mass on It」(そのうえの魂)と題された映像作品では骨の上の肉を、「Surface on It」(そのうえの表面)は表層面をと、実は頭蓋骨はのっぺりとした肉がのせられたただの台座であるということを暗喩しています。

Ass Fallと題された写真作品では「自分で見えない尻を想像」するといった発想が想像を超え、滝や川が流れている童話や神話のワンシーンのようなものに自分で見えない場所のひとつである尻をコラージュしています。尻はどこともない秘境にあり、作品の中でもうひとつの探検物語を完成させています。「見る事のできない尻を撮ってみたら、なんとそれは未開の奥地にあって探検隊によって発見、観光の対象となっていた」というような、いわく、思っていた場所や時間を無効にするというところに到達します。また古事記に書かれていた、神の糞と尿と嘔吐物でできている土地という説話にも言及しています。こうした作品群は、廣が作品全体を通して言っている「無知」からくる想像/創造へと繋がってゆきます。

会期中に期間限定で餅米により復元された頭蓋骨の作品を展示する予定です。
展示期間5月28日~6月1日